---------------------------【次亜塩素酸ナトリウム希釈液の作り方】-------------------------------
手指衛生には使えませんが、新型コロナウイルスにはアルコールの他に『次亜塩素酸ナトリウム』が有効です。市販されているものは濃度が濃いので薄めて使います。
◆◆【新型コロナウイルス消毒用】0.05%次亜塩素酸ナトリウム希釈液を作る◆◆
調理器具、ドアノブ、トイレの便座、衣類の消毒などに使います
⇒ 5%の原液5ml+水500ml
[主な市販品の濃度]
1%:ミルトン等 5%:キッチンハイター・ブリーチ等 6%:ピューラックス・アサヒラック等
[参考]ペットボトルのキャップ1杯≒5ml
大さじすり切り1=15mL 中さじすり切り1=10mL 小さじすり切り1=5mL
[注意点]
・調理器具は浸したり、拭いたりした後十分な水で洗い流す。
・金属、床、便座などは10分後に水拭きをする。
・漂白作用があるので、色落ちが気になる布地には使用しない。
・使い捨ての手袋・ゴーグル/メガネを使う。
・間違って飲み込まない・吸い込まない・眼に入ったり皮膚に付いたら直ちに流水で洗い流す。
・希釈したものは冷暗所に保管し、時間の経過で塩素濃度が減少するためその都度使い切る。
・使用上の注意をよく読んでからご使用下さい。
(参考文献)
・医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第2版改訂版 日本環境感染学会
『SARS-CoV-2は、エンベロープを有するためアルコールに感受性を有します。また0.05%の次亜塩素酸ナトリウムも有効と考えられます。』
『患者に使用した食器・リネンは通常の熱水洗浄(80℃,10分間)で問題ありません』
・台東保健所生活衛生課資料
--------------------------ノロウイルスの消毒などは本文にあります-----------------終わり------
☆台東区(台東保健所)による公式チャンネル
~『ノロウイルス食中毒予防4か条』~https://www.youtube.com/watch?v=qo4xS1yPA10
もご参照ください。(You Tubeで視聴できます。)
沿革)台東区には観光地区として浅草・上野が位置していることもあり、区内に多数の飲食店が存在します。台東保健所は、その管轄地域での食品衛生(営業許可及び監視指導、医療機関からの食中毒報告の受理等)に対応、食中毒の予防に関しては一般、飲食店営業に関わらず特別区保健所の中でも重点的に取り組み、その一環として作られたのが上述のYou Tube公式チャンネル(平成25年から公開)です。
備考)平成27年には台東区内の社員食堂における78名のノロウイルス集団食中毒、台東区内飲食店における団体客88名のノロウイルス集団食中毒、台東区内飲食店における鳥料理による23名のカンピロバクター食中毒の事案他複数発生している。
ノロウイルス完全攻略ガイドです~台東保健所生活衛生課資料より~
----------お急ぎの方はこちらをお読みください---------------------
【発症してしまったら】
ノロウイルスに感染した場合の主症状は下記の通りです。
≪おう吐≫ ≪吐き気≫ ≪下痢≫ ≪腹痛≫ ≪38℃台の発熱≫
通常、これらの症状は1~3日で治まりますが、ひどいおう吐・下痢が続いた場合は脱水症状を起こすこともあり、入院や点滴などの処置が必要になります。特に免疫力の弱い乳幼児や高齢者などでは症状が重くなる場合があるため、注意が必要です。
【応急手当】
◇脱水症にならないように水分を十分にとりましょう。
吐き始めてからしばらくは何を摂取しても吐いてしまうことがあります。この場合には吐き気がおさまってから、白湯などを少量ずつ摂取しましょう。
◇安静にしましょう。
◇自分の判断で市販薬をのまないようししましょう。
【医師へ伝えること】
◇症状の現れた時期、どんな症状か、便の様子などを伝えましょう。
◇食べ物が原因の場合があるので、最近食べたもの、一緒に食事をした人の様子などを伝えましょう。
------------------------------------------------------------
【食中毒の発生件数 夏≦冬は本当?】
年間に発生する食中毒は夏場に多いと捕らえがちですが、全体の約1/4が12月~3月の冬場に発生しています。その内の約70%がノロウイルスが原因と言われています。
【ノロウイルス感染症のピーク時期~ それは初冬から春先です】
油断しがちな冬場に急増するのがノロウイルス感染症です。平成21年のノロウイルス感染者数は、11月・12月・1~4月の半年間で、5~10月の約12倍に達しました。(厚労省平成21年食中毒発生状況より)
【ノロウイルスとは】
感染性胃腸炎の原因となるウイルスです。かなり昔からその存在は知られており、冬場に『カキにあたる』『吐いて下痢する』といった症状の原因のほとんどが突き詰めてみれば、ノロウイルスであることがわかってきました。ノロウイルスは以前は『ノーウォーク(様)ウイルス(小型球形ウイルス)』と呼ばれており、その性質は不明確でしたが、さまざまなことが解明されたのを契機に2002年に『ノロウイルス』として国際ウイルス学会で命名され、その名を耳にするようになりました。
冬場に流行するかぜやインフルエンザと初期症状が似ているため、食中毒と気がついたときには感染が広がっているケースが多いのがノロウイルスです。
【ノロウイルスの特徴】
◆姿形
大きさは30nm(ナノメートル)ほどの粒子で、電子顕微鏡で観察されます。(1nm=1mmの100万分の1)
◆感染力が強い
・食品中では増殖せず、ヒトの腸管内でのみ増殖します。
・10~100個のウイルス量でヒトに感染します。
・便・おう吐物1グラム中にウイルスが100万個含まれるといわれています。
・症状が治まっても1~4週間は便中にウイルスを排泄しています。
・便・おう吐物として体外に出た後も環境に適応し、熱や乾燥に強く比較的塩素やアルコールにも抵抗力を示します。
・わずかな量の便が衣服に付いただけでもそれらを介して感染してしまいます。
・おう吐物中のノロウイルスは乾燥すると舞い上がり、これが口に入ると高率に感染します。
・消毒効果の落ちたプールやお風呂なども感染の原因になります。
◆小児/高齢者は要注意
通常のノロウイルス症状は1~2日で落ち着きますが、抵抗力が弱い小児やお年寄りでは、下痢による脱水症状やおう吐物による窒息など重症化する危険があり、注意が必要です。
◆集団感染の恐れ
昨今、食品が原因である『食中毒』よりもその強い感染力のために感染したヒトからヒトへ拡がる『感染症』としての流行が増えています。
◆ノロウイルスの弱点
・85℃以上、かつ1分間以上の熱湯消毒で死滅します。
・唯一有効な消毒液は、次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターなど)です。(アルコールや逆性石けんは無効)
【感染経路は3パターン】
<食中毒として>
(1)食品(二枚貝)→ヒト感染
下水中のノロウイルスが河川・海へ流出→二枚貝(カキなど)にウイルスが捕食される→二枚貝の中腸腺に蓄積→その二枚貝を十分に火を通さずに摂取→感染
(2)ヒト→食品→ヒト感染
感染者がよく手を洗わずに調理→手指・調理器具から食品がウイルスに汚染→その食品を摂取→感染
<感染症として>
(3)ヒト→ヒト感染
感染者の便・嘔吐物処理後、手に付着したウイルスや嘔吐物の乾燥粒子(空気中に飛散したウイルスの粒子)を経口摂取→感染
【症状 ⇒ 感染から1~2日後に現れます】
『吐き気・おう吐』・『下痢』・『発熱(38度台)』・『腹痛』
◆通常は3日ほどで回復します。後遺症もありません。
◆感染しても全員が発病するわけではなく、軽いかぜ症状ですむ人もいます。
◆乳幼児・高齢者では嘔吐物を気管につまらせたり、下痢による脱水症状が強い場合があるため注意が必要です。
◆症状が治まっても1~4週間は便中にウイルスを排泄しています。また症状がなくてもノロウイルスに感染していて、ウイルスを排泄している場合があります。
◆感染しているおそれのある人は用便後の手洗いを徹底する・お風呂は最後に入るか、シャワーだけにするなど感染拡大防止に努めましょう。
【治療】
現在まで特効薬やワクチンはなく、水分補給で脱水症を防ぐなどの対症療法で状態の回復を待ちます。ひどい下痢症状が続いたとしても、安易に下痢止めを飲んでしまうと体内でウイルスが停滞し、回復を遅らせることがあるので医師の指示に従って服用します。(脱水症の治療として経口補水療法を後述しました。)
【食中毒予防】
◆手洗いの徹底
◆発生要因:二枚貝はノロウイルスを蓄積している場合があります。
→流通している二枚貝の検査では、カキ/シジミ/タイラ貝/ホタテ/ムール貝等からノロウイルスが検出されています。
◆食品の殺菌:二枚貝の中心部まで十分火が通っていないとノロウイルスが残存します。
→中心温度が85℃以上・1分以上の加熱すればノロウイルスは死滅します。特に高齢者/乳幼児の食事は食材を中心部分までしっかり過熱しましょう。
※二枚貝を調理するときは専用の調理器具を用意するか、使う度に洗浄・熱湯消毒をして二次感染を防ぎましょう。
◆調理器具などの殺菌
調理器具→洗剤で洗った後、0.02%次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭く。(消毒液については後述)
まな板/包丁/へら/食器/ふきん・タオルなど→85℃以上の熱湯で消毒する。
◆調理をする人の心得
下痢・嘔吐があるときは調理しない。
症状がなくなっても最低でも1週間は便にウイルスがいることを忘れずに。
調理前にトイレにいった後の手洗いを普段以上に徹底しましょう
直接食品に触れるときは使い捨ての手袋を使う
体調に気を使い健康を保つ
流行期は十分に加熱した食品を食べる
------------【次亜塩素酸ナトリウム希釈液の作り方】------------------------
ノロウイルスには『アルコール』や『逆性石けん』等は十分な消毒効果が期待できません。
効果がある消毒液は『次亜塩素酸ナトリウム』だけです。
市販されているものは濃度が濃いので薄めて使います。
[主な市販品の濃度]
1%:ミルトンなど
5%:キッチンハイター・ブリーチなど
6%:ピューラックス・アサヒラックなど
[参考]ペットボトルのキャップ1杯≒5ml
≪次亜塩素酸ナトリウムうすめ液の作り方≫
□0.02%液を作る(調理器具類の消毒や家庭内の清掃時の消毒に使います)
⇒5%原液10ml+水2.5リットル
◆◆0.05%液を作る◆◆新型コロナウイルス消毒用(調理器具、ドアノブ、トイレの便座、衣類の消毒など)
⇒5%原液 5ml+水500ml
□0.1%液を作る(おう吐物/便などにより汚染を受けた場所や衣類等の消毒に使います)
⇒5%原液10ml+水500ml
[注意点]
・金属に使ったら10分後に水拭きをする。
・漂白作用があるので、色落ちが気になる布地には使用しない。
・使い捨ての手袋・ゴーグル/メガネを使う。
・間違って飲み込まない・吸い込まない・眼に入ったり皮膚に付いたら直ちに流水で洗い流す。
・希釈したものは冷暗所に保管し、時間の経過で塩素濃度が減少するためその都度使い切る。
・使用上の注意をよく読んでからご使用ください。
------------------------------------------------------------------------
≪A≫【おう吐物の処理方法】
◆ノロウイルスは乾燥すると舞い上がり、これが口に入ると感染するので速やかに処理しましょう。
◆おう吐物は想像以上に遠くまで飛び散っているので、吐いた場所を中心として半径1メートル程の範囲を消毒する必要があります。
(1)処理の前に換気のために必ず窓を開け、使い捨てのマスク・手袋・エプロンを着用する。ゴーグル/メガネで防御するとより安心です。
(2)おう吐物をペーパータオルなどで静かにできる限りふき取る。
(3)0.1%次亜塩素酸ナトリウムに浸したペーパータオルなどを吐物で汚染を受けた場所に覆う。
(4)10分ほどおいたら水拭きをする。
(5)ビニール袋に、吐物やふき取ったペーパータオルなどを入れ袋の口をしっかりとしばる。
0.1%次亜塩素酸ナトリウムを染み込む程度入れておけばより安心です。
(6)汚物の入った袋と使い捨て手袋等をビニール袋に入れ、口をしっかりとしばり廃棄する。
(7)石けんでていねいに手を洗う。最低30秒以上。
≪B≫【トイレの清掃消毒方法】
(1)外・内側のドアノブ・水洗レバー・蛇口・便座・床などを0.02%次亜塩素酸ナトリウム液に浸した布で拭く/または霧吹きする。
(2)10分後に水拭きをする。
≪C≫【ふとん・座布団・じゅうたんなど簡単に洗えないもの・色落ちしては困るもの】
(1)汚物をペーパータオル等でできる限りふき取る。
(2)汚物をふき取った場所をスチームアイロンで熱殺菌する。※作業中は窓を開け換気しましょう。
(3)布団乾燥機を用いる/もしくは日光に当ててしっかり乾燥させる。
※スチームアイロンでは十分に熱殺菌できない場合があります。
※汚染がひどい場合は新しい物に交換することをお勧めします。
≪D≫【リネン類】
下洗いした後、85℃以上1分以上の熱湯消毒をする。
≪E≫【調理器具の消毒方法→(1)または(2)】
(1)水で洗浄→スポンジ等に中性洗剤をつけて洗浄→水で洗剤を洗い流す→85℃以上の熱湯で1分以上の加熱をする→乾燥後戸棚などにいれて衛生的に保管
(2)水で洗浄→スポンジ等に中性洗剤をつけて洗浄→水で洗剤を洗い流す→0.02%次亜塩素酸ナトリウムに浸す/または浸すように拭く→十分な水で洗い流す→乾燥後戸棚などにいれて衛生的に保管
(参考)-食中毒の治療について-
嘔吐下痢による脱水症の補正と症状に対する対症療法が中心となります。嘔吐・腹痛・下痢の治療は制吐薬、痛み止めや下痢止めの薬を使う事になりますが、両者を併用するとお互いの作用を打ち消し合って薬が効かなくなる場合があります。別の医療機関での処方があれば内容の確認が必要です。お子さんの脱水症の治療に対しては、経口補水液(いわゆるOS-1やアクアライト)による経口補水療法が、点滴と同様の効果があることがわかっています。自力で飲めるようであれば、ご家族の負担が少ない自宅で経過観察することも可能です。もちろん、重症であれば医療連携室経由で病院での入院加療を進めるのはいうまでもありません。
【経口補水療法】:Oral Rehydration Therapy(ORT)
経口補水液(Oral Rehydration Solution:ORS)による脱水症の治療法です。当初発展途上国でのコレラによる乳幼児の脱水症の予防や治療目的のために世界保健機関が開発した治療法です。成人に対しても使用できます。CDC(Center for Disease Control and Prevention)の※脱水症ガイドラインでは、喪失水分の補充としてORSを軽度~中等度脱水状態での治療に使用、50~100ml/kgのORSを3~4時間以内に飲用、体重10Kg未満の場合、下痢又は嘔吐の発症の都度ORSを用量60~120mlにて投与、体重10Kg以上の場合、120~240mlにて喪失相当分を投与追加とし、初回の水分補給後には年齢に合った食事を再開するとしています。※Morbidity and Mortality Weekly Report:MMWR;Vol.52(No.RR-16),2003
☆☆☆☆☆☆ たいとう食品衛生クイズ ☆☆☆ 挑戦してみよう ☆☆☆☆
(台東保健所配布資料から一部抜粋・改変)
もんだい
1. ばいきんをやっつける「けん」って、どんな「けん」だ?
2. バイキンをやっつける「えき」って、な~んだ?
3. テーブルをふいてたべるおかしは、な~んだ?
4. れいぞうこのなかに、どうぶつがいるよ、どんなどうぶつかな?
5. しんせんなとりにくは、なまでたべてもだいじょうぶかな?
6. じゃがいものめがでているところをたべると、どうなるかな?
こたえとかいせつ
1. せっけん
手をきれいにすればするほど、せっけんは、どんどん小さくなっていきます。よく泡立てて、手をきれいにあらって、バイキンにサヨナラしよう。
2. しょうどくえき
バイキンは、消毒液が苦手です。手洗いの後や、食器具などはアルコールなどの消毒液を使ってバイキンをやっつけましょう。ノロウイルスには、塩素系消毒液が効果的です。
3. だいふく(大福)←台ふく
台の上に、バイキンやウイルスがいるかもしれないよ。食事の前には、きれいなふきんで、テーブルをよく拭きましょう。
4. ぞう(れい-ぞう-こ)
冷蔵庫の中は5℃以下にしましょう。食べ物を詰め込み過ぎると、温度が下がりにくくなるので、整理整頓をしましょう。バイキンは10℃を超えると活発に増え始めます。
5. だめです!!
お肉が新鮮だから生で食べても安全?いやいや、それは間違いです!生の鶏肉の約7割に、カンピロバクターという菌がいます。加熱不足で食べると、食中毒につながるので、よく加熱しましょう!
6. 食中毒になる危険があります!
じゃがいもの芽が出ている部分や緑色の部分には、毒(ソラニン)があるので、食べると吐き気・下痢・おう吐・めまいなどの症状が出ます。取り除いて調理しましょう。
平成29年10月3日、医療従事者向けのHIV感染症と梅毒に関する講習会があり出席しました。その際に都立駒込病院感染症科今村顕史先生に会場で質問しました。(「見落とさないHIV感染症・急激に広かる梅毒~早期発見のために~」講習会 東京都結核予防会主催 アルカディア市ヶ谷)
講習会冒頭、東京都福祉保健局健康安全部からお話がありましたが、梅毒患者の中で特に20代女性の感染者が著増している状況【※注1】を鑑み、私が思ったのは、当事者の方(この場合女性)の頭には、『(今現在症状がないのであれば、疑う理由もないためパートナー(男性)を健康だと判断し、)よもや梅毒をうつされるとは考えなかった』と捉えることが自然だったのではないかということです。
(男性が、一時的に出現しては消える第1期・第2期梅毒の症状を自分で認識していたかどうか、認識していればそれをパートナーに告知していたかどうかは別の話です)
----------都立駒込病院感染症科今村顕史先生にお聞きしました-------------------
そこで、『今現在症状がない』状態として、潜伏梅毒(症状がないまま数~数十年経過する)と、自覚症状がぎりぎりわからないような?梅毒を想定し次の点についてお聞きしました。
(質問1)第1期梅毒から第2期梅毒を過ぎて潜伏梅毒(症状がないまま数~数十年経過する)に至ったとしてもこの間はいつでも感染するリスクがあるのかどうか
(質問2)梅毒に不顕性感染(デング熱やジカウイルス感染症のように体内にウイルスがいても症状がでない状態)があるのかどうか(万が一存在すれば無症状故に治療に結びつかないため深刻な感染拡大へ?←妄想です)
(回答1)自覚症状がある時期が特に感染力が強い
つまり第1期から第2期梅毒、潜伏梅毒、早期神経梅毒、晩期梅毒に至るまで性行為で感染します。また、潜伏梅毒から第2期梅毒に戻るようなさまざまなバリエーションあるとのことで、言い換えれば、病期の進行に伴い徐々に落ちるであろう感染力が逆に強まるようなことがあるということです。
(回答2)不詳である
不詳ですが、自然治癒例があるとのお話でした。当然自然治癒も経過として『今現在症状がない(今後も症状は出ない)』ため、自然治癒に至る特徴や条件についてさらにお聞きしましたが、少数で言及できないとのことでした。
今村先生からは、梅毒の診断自体(不顕性感染という特殊な状況でなくとも)自覚症状がある時期を超えてしまえば容易に見逃しがちな疾患であり、早期発見のためには梅毒検査(STS法とTP法の2種の検査での判定、そのうちTPLAは早期に上昇することがあり治癒後なのか感染初期なのか判定に注意)での結果の判定に加え、問診や既往歴・現病歴(他疾患の罹患から梅毒の感染を考慮。逆に梅毒の既往からHIVを考慮し【※注2】)、ピンポイントで情報を聴取することが肝要とのことでした。ありがとうございました。
【※注1】○東京都の男女別年齢別梅毒患者報告数(2016年)によると、10~19歳男性13名に対して10~19歳女性22名、20~29歳男性262名のうち、20~24歳96名、25~29歳166名に対して、20~29歳女性260名のうち 20~24歳155名、25~29歳105名 となっている。(東京都福祉保健局配布資料より)
【※注2】
○全国拠点病院の新規HIV感染者(2015年)における梅毒既感染率に関するアンケート調査 関東甲信越ブロックでは新規患者数708名に対して梅毒既往数は204名、梅毒既往感染率は28.8%であった。
○HIV陽性者と性感染症との関連として、アメーバの常在化、A型肝炎の流行(1998~1999年)、梅毒の流行、B型肝炎の蔓延(ジェノタイプA型→慢性化20~30%)、性感染症としてのC型肝炎がある。
○HIV早期発見のヒント(性行為に関連するもの)
梅毒 アメーバ感染症(腸炎、肝膿瘍) 尖圭コンジローマ ヘルペス感染症(肛門部、陰部) A型肝炎(性感染が疑われる場合) B型肝炎(性感染が疑われる場合) 淋病 クラミジア感染症 ((講習会資料より))
◎台東保健所では平成29年度よりHIV検査に加えて、2種類の梅毒検査(TPHA法(保健所ではイムノクロマト法)及びRPR法)も同時検査が可能となりました。御心配の方はぜひお受けください。私は、浅草医師会派遣医として台東保健所での台東区HIV検査説明医の一人として従事しています。当日ご不明な点等ありましたらどうぞお尋ねください。
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≪梅毒とは≫
「性感染症(STI)ってどんな病気?」(東京都福祉保健局)より一部抜粋改変
【特徴】
・梅毒は慢性の感染症で、何年もかかって進行していきます。
・粘膜や皮膚の小さな傷から感染しますが、食器などから感染することはありません。
・4つの病期に分れ、第1期・第2期が感染力が強く、第3期・第4期に進むにつれて弱くなります。
・梅毒の感染中に症状が消える時期がありますが、治らずに感染が持続している場合があります。
・終生免疫は得られないので、何度でも感染します。
【病原体】
梅毒トレポネーマ
【潜伏期間】
およそ3週間
【感染経路】
梅毒トレポネーマが粘膜や皮膚の小さな傷から入り込んで感染を起こし、全身に広がって炎症をおこします。
第1期と第2期では、粘膜など病気の部分に病原体が多量に含まれているため他の人に高率に感染させる可能性があります。
皮膚の菌が少なくなる第3期・第4期では感染性は下がります。
妊婦の場合は、どの時期でも胎児に感染させる可能性があります。
先天梅毒の赤ちゃんの分泌液にも菌が多く含まれます。
【症状】
(1)第1期 (感染後3週から3カ月)
感染部位(性器/肛門/口など)にできもの・潰瘍や、その近くのリンパ節の腫れがみられます。
初期硬結:痛み、かゆみのないできもの
硬性下疳:できものの中央がえぐれて潰瘍ができたもの
無痛性リンパ節腫脹:鼠径部や頚部のリンパ節が腫れます
できものや腫れは1カ月で自然に消えます。(治ったとはいえません)
(2)第2期 (感染後3カ月~3年)
手のひら/足のうら/体に発疹(バラ疹)ができます。
発疹は6カ月以内で自然に消えます。(治ったとはいえません)
(3)第3期 (感染後3年~10年)
一見体調のよい時期が数年間続きますが、皮膚や内臓で病気は静かに進んでいます。
(4)第4期 (10年~)
神経症状や心血管症状が現れることがあります。
【検査】
梅毒トレポネーマの検出または血液検査で診断します。(血液検査は感染してから4週後以降)
※梅毒の血液検査には2種類あります。STS法(緒方法/RPR法)においては、梅毒以外の感染症・自己免疫疾患・妊娠などにより生物学的偽陽性を呈することがあり、梅毒の初期感染と取り違えるおそれがあるため、TP抗原法(FTA-ABs/TPHA・TPPA法)での併用検査が必要です。(TP抗原法は、STS法と比較して感染後の陽性までの時期が遅れること、治療によってT.pallidumが消失した後も陽性反応が持続するため、治療効果の判定には使えないこと等あります。)
【治療】
早く発見し治療すれば完全に治る病気です。抗菌薬を使用します。
終生免疫は得られないので、何度でも感染します。
【妊婦】
梅毒は胎盤を通して胎児に感染します。
母子手帳といっしょに配布される妊婦健康診査受診票(1回目)の中には、無料の梅毒検査が含まれており、妊娠初期までに検査することになっています。
胎児に感染すると、流産・死産・先天梅毒を起こすことがわかっています。
【備考】
『梅毒』2015年第1~53週と2016年第12週までの疫学的特徴
国立感染症研究所 IDWR 2016年 第12週(3月21日~3月27日)通巻第18巻 第12号 注目すべき感染症 より一部抜粋・改変
http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/idwr/IDWR2016/idwr2016-12.pdf
2016年第1~12週まで(2016年1月4日~3月27日)に診断され、梅毒として報告された症例数(2016年3月30日時点、暫定値)は796例で、昨年同時期(397例)の2.0倍であった。性別は男性563例、女性233例で、昨年同時期(男性289例、女性108例)のそれぞれ1.9倍、2.2倍であった。
都道府県別では、東京都350例(前年同時期147例、2.4倍)、大阪府100例(同43例、2.3倍)、神奈川県44例(同29例、1.5倍)、愛知県37例(同14例、2.6倍)、埼玉県29例(同13例、2.2倍)が多く報告された。
感染経路別では、男性は異性間性的接触が275例(昨年同時期105例、2.6倍)、同性間性的接触が158例(同104例、1.5倍)の報告であった。また、女性の異性間性的接触は177例(同73例、2.4倍)であった。早期顕症梅毒が、男性で411例(同166例、2.5倍)、女性で131例(同55例、2.4倍)とそれぞれ増加した。
5歳毎の年齢分布として、男性は20~54歳の各年齢群より報告されており(計477例:男性報告全体の85%)、最も割合の高い年齢群は40~44歳(96例:男性報告全体の17%)であった。女性は15~34歳の年齢群が女性報告全体に占める割合が約7割(計166例)であり、20~24歳(75例:女性報告全体の32%)が最も割合の高い年齢群であった。先天梅毒は4例(昨年同時期3例)が報告された。
2010年以降梅毒の報告数は増加傾向に転じており、本年3月までの報告は、昨年と同様な傾向で増加が継続している。全国的に増加がみられており、東京都と大阪府、そしてその周辺の地域からの報告が特に多い。昨年に引き続き、男女の異性間性的接触による報告数増加の傾向が続いており、母子伝播による先天梅毒の増加も懸念される。また、同性間性的接触による報告数も増加している。
今後の梅毒の発生動向に引き続き注意しながら、特にリスクが高い集団に対する啓発活動が重要である。
具体的には、
◎不特定多数の人との性的接触はリスク因子であり、
◎その際にコンドームを適切に使用しないことがリスクを高めること
◎オーラルセックスやアナルセックスでも感染すること
◎梅毒は終生免疫を得られず再感染すること
などが啓発のポイントとして挙げられる。感染が疑われる症状がみられた場合には、早期に医師の診断・治療を受けることが重要である。梅毒と診断した場合には、感染症法に基づく届出を行う必要がある。また梅毒に感染していたとわかった場合は、周囲で感染の可能性がある方(パートナー等)と一緒に検査を行い、必要に応じて、一緒に治療を行うことが重要である。梅毒の感染経路、症状、治療、予防等に関しては、「梅毒に関するQ&A」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkakukansenshou/seikansenshou/qanda2.html)を参照されたい。
《はじめに》
●傾向など
腸管出血性大腸菌O157食中毒の原因食品となりうる牛レバー・ユッケなど非加熱食肉に関しては、昨今食中毒の事例が報告され、生食用牛肝臓の販売・提供が平成24年に禁止となり感染原因の一つが原則なくなりましたが(※1)、その一方で、平成26年の静岡市の花火大会での露店の冷やしきゅうりによる大規模なO157 VT1&2集団食中毒事例(※2)が発生する等、夏場は食中毒に特に注意が必要な季節と考えられます。
※参照(1)国立感染症研究所 『牛生肉・牛生レバー規制強化後の牛生肉および牛生レバーを原因とする腸管出血性大腸菌O157発生状況』 https://www.niid.go.jp/niid/ja/ehec/1009-idsc/iasr-in/6688-438d03.html
(2)国立感染症研究所 『花火大会関連腸管出血性大腸菌O157 VT1&2集団発生事例-静岡市』 https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2307-iasr/related-articles/related-articles-423/5678-dj4236.html
●症状
腹痛、嘔吐、下痢、熱などが主な症状です。多量の粘血便や意識障害、呼吸障害があれば重症のサインです。
夏の食中毒で危惧すべきは、気温が高いとすでに脱水の傾向があり、これに食中毒の嘔吐・下痢が重なると重度の脱水症になる場合があるということです。特にお年寄り、お子さんでは注意が必要です。
●治療について
嘔吐下痢による脱水症の補正と症状に対する対症療法が中心となります。(感染型細菌性食中毒の場合、抗菌薬の加療を行うことがあります。嘔吐・腹痛・下痢の治療は制吐薬、痛み止めや下痢止めの薬を使う事になりますが、両者を併用するとお互いの作用を打ち消し合って薬が効かなくなる場合があります。別の医療機関での処方があれば内容の確認が必要です。
お子さんの脱水症の治療に対しては、※経口補水液(いわゆるOS-1やアクアライト)による経口補水療法が、点滴と同様の効果があることがわかっています。自力で飲めるようであれば、ご家族の負担が少ない自宅で経過観察することも可能です。もちろん、重症であれば医療連携室経由で病院での入院加療を進めるのはいうまでもありません。
※経口補水療法(ORT:Oral Rehydration Therapy)
経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution )による脱水症の治療法です。当初発展途上国でのコレラによる乳幼児の脱水症の予防や治療目的のために世界保健機関が開発した治療法です。成人に対しても使用できます)
クリニックでは、点滴や水利作用のある漢方薬や西洋薬の処方等にて成人とお子さんの治療に対応します。
以下注意が必要な食中毒について情報提供です。
(東京都福祉保健局健康安全室安全課・台東保健所衛生課配布資料より一部抜粋)
≪総論≫
【食中毒とは】
食中毒菌や、食中毒菌が作った毒素、ウイルスなどを含む食品を食べることで感染することで食中毒が起こります。
【主な症状は】
胃腸炎(腹痛、嘔吐、下痢)ですが、発熱、けん怠感など風邪のような症状の時もあります。
【食中毒菌の味・匂いの変化】
食品中で増えたり汚染されても、味も匂いも変わりません。
【人から人への伝搬】
普通は人から人に直接感染することはありません。ただし、O157、ノロウイルス、赤痢菌などは感染力が強いため、人から人へ感染することがあります。
【食中毒の予防3原則】 (台東保健所通達より)
1)つけない
原因微生物が、肉・野菜などに付着していたり、手や調理器具などを介して他の食品を汚染して食中毒の原因となることが多いです。食材、手指、調理器具をよく洗います。
2)ふやさない
食中毒を起こす微生物がついてしまった食品も、食品中で微生物が増えなければ、例えば刺身にして生で食べても食中毒になりません。細菌は通常、冷蔵庫内くらいの低温でふえにくくなるので、室内に放置せず、冷蔵庫に食品を保存することが重要です。
3)やっつける
食中毒を起こす微生物のほとんどが熱に弱く、加熱すれば死んでしまいます。しかし、加熱不十分で発生する食中毒が多いため注意が必要です。また、食器やキッチン用品は洗浄した後、熱湯や塩素系漂白剤で消毒する必要があります。
【食中毒の実例】
《ケース1》
「バーベキューで食べた牛肉が生だった...」「レバ刺し、ユッケを食べて...(日本国内ではないのかもしれません)」→食後3~5日(※長いのが特徴)→激しい腹痛、嘔吐、血便→腸管出血性大腸菌(O157)食中毒
《ケース2》
「鳥刺し、鳥レバ刺し、鳥わさを食べて...」「(未消毒の)井戸水を飲んで...」→飲食後2~7日後(※長いのが特徴)→腹痛、下痢熱、血便→カンピロバクター食中毒
《ケース3》
「(海水温の高い7月~9月に)魚介類を食べて...」→食後12時間→激しい腹痛、下痢(時に熱、嘔吐)→腸炎ビブリオ食中毒
《ケース4》
「卵(半熟のオムレツ、納豆たまご、自家製マヨネーズなど)を食べて...」(または、「家の中にねずみをみかけることがあった...」など)→食後5時間~72時間→発熱(39~40℃)、腹痛、下痢、けん怠感→サルモネラ食中毒
《ケース5》
「手作りのおにぎり、サンドイッチを食べて...」→食後1時間~5時間(※早いのが特徴)→嘔気嘔吐、下痢、腹痛→黄色ブドウ球菌食中毒
《ケース6》
「(作り置きした)チャーハン・オムライス・ピラフ・パスタなどを食べて...」→1~5時間後に嘔吐、または8~15時間後に下痢→セレウス菌食中毒
《ケース7》
「(大量調理された)カレー、シチューを食べて...」→食後6~18時間→下痢腹痛、嘔吐→ウエルシュ菌食中毒
《ケース8》
「いずし(発酵食品)、瓶詰、缶詰を食べてから...」「子ども(乳児)にはちみつを食べさせてから...」→食後8~36時間→めまい、腹痛、言語障害、呼吸困難、視力低下(※神経症状)→ボツリヌス菌食中毒
《番外編:海外渡航時》
生水・魚介類の飲食後1日→激しい嘔吐、激しい下痢→コレラ菌
生水・食品の食後1~2週→熱、眠気、下痢→チフス菌、パラチフス菌
生の貝類・生水の飲食後2週~4週→けん怠感、熱、食思不振→A型肝炎
【食中毒の種類】
原因別には細菌(O157やサルモネラ・コレラなど)、ウイルス(ノロウイルスなど)、自然毒(ふぐ毒、毒キノコなど)があります。<今回はウイルス・自然毒は割愛します>
夏の食中毒は細菌性食中毒が問題となります。
細菌性食中毒はさらに、感染型と毒素型に分かれます。
A)感染型細菌性食中毒
食品に付着した細菌を体に取り込んだ後に、体内で細菌が増殖し病原性を現すことで起こります。
原因菌:病原性大腸菌・サルモネラ・腸炎ビブリオ・コレラなど。
対応:細菌を取り込まないように、加熱・環境消毒・手洗いを行って食物へ細菌を付着させないことが大切です。
※感染型は十分な加熱が有効です。
B)毒素型細菌性食中毒
食品内の細菌が産生した毒素を体に取り込んで起こります。
原因菌:黄色ブドウ球菌・セレウス菌・ボツリヌス菌。
対応:毒素を取り込まないように、加熱殺菌・低温保存等を行い、食物中の繁殖を防ぐことが大切です。
※毒素は加熱しても不活化しません。(後述:ボツリヌス菌毒素は加熱が有効。ただし、芽胞は耐熱性のため、体内で芽胞が発芽して毒素産生するため乳児にはちみつを与えてはいけません。)
≪各論≫
主な食中毒の原因微生物について
【O157腸管出血性大腸菌】感染型
●発症菌数が少ない。 食中毒としては少ない数百個で発症します。
●潜伏期間が3~5日と非常に長い。感染源の特定が難しくなっています。
●人から人へ二次感染をおこす。通常の食中毒菌は人から人へ感染することはありませんが、感染力が強いため、便等を介して人から人へ感染する可能性があります。
●熱に弱い、市販の消毒剤に弱い。アルコールや逆生石けんなどの紫斑消毒剤でも容易に死滅します。
●下痢1週後に急性腎炎、血症板減少、貧血などを呈する溶血性尿毒症症候群(HUS)や急性脳症を発症することがあります。
主な原因食品:食肉(牛肉及び牛レバーなどの生食、加熱不十分なもの)、二次汚染食品(H26年の露天の冷やしきゅうりによるO157集団食中毒など)
症状:腹痛、水様性下痢。時に、虫垂炎を疑うような激しい腹痛、大量潜血を伴う下痢となることがあります。
潜伏期間:3~5日 ※長めです。
予防:肉の生食は避け、十分加熱します。お肉を扱う際のとり箸・トングは専用のものを使いましょう。生で食べるサラダなどは肉料理の前に調理しましょう。
【カンピロバクター】感染型
●スーパーなどで購入できるとり肉には、かなりの割合でカンピロバクターが付着していると考えてください。(十分加熱すれば大丈夫です。)
●飲食店での鶏のさしみは、肉にカンピロバクターが付かないように細心の注意を払って処理された鶏肉を使っていればいいのですが、そうでない場合は食中毒になる可能性があります。
主な原因食品:食肉(特にとり肉、牛・豚も)野鳥などの動物のふんに汚染された水・食品
症状:熱、下痢、腹痛。まれに筋肉痛やめまい、食中毒症状後にギランバレー症候群(手足のしびれ、顔面神経まひ、歩行障害、呼吸困難など)を発症する場合があります。
潜伏期間:2~7日 ※長めです。
予防:十分に加熱する(冷凍のとりの唐揚げは低温でじっくり揚げるなど)。小さいお子さんやお年寄りには、生に近いとり肉を使った料理を食べさせないようにしましょう。
【サルモネラ菌】感染型
●サルモネラに汚染された卵を食べて発症します。
●鶏卵の表面や中身がサルモネラに汚染されていることがあります。
●世界的、日本国内でも増加・多発傾向です。
●十分な加熱が有効です。
●汚染された卵の保存条件が悪いと卵の中のサルモネラが増えてしまいます。
●特に割った卵では急激にサルモネラが増殖するため、卵の割り置きは危険です。
主な原因食品:生卵、十分に加熱していない卵料理。
その他:二次感染源としてネズミ、ゴキブリ、ミドリガメがあります。
症状:発熱(38-40℃)、腹痛、下痢、けん怠感
潜伏期間:5-72時間
予防:
卵はきれいでひび割れのない新鮮なものを購入します。
買った卵はすぐに冷蔵庫に入れ、食べる直前にからを割り、できるだけ早く食べます。
卵の加熱調理時は、十分加熱し、調理後すぐに食べましょう。
【腸炎ビブリオ食中毒】感染型
●夏の海産魚介類でみられます。
●発育が非常に速い。
●塩分2~5%でよく発育し、水道水では増殖できません。(※真水に弱いので水道水による洗浄も食中毒予防に効果があると言われていますが完全な除菌はできません。)
主な原因食品: 海水温度が高い7月~9月初旬にかけて獲れた海産魚介類は汚染の可能性が高く、漁獲後・流通過程・調理中の不適切対処により食品中で増殖します。
症状:激しい腹痛、激しい下痢。時に熱、嘔気嘔吐も。
潜伏期間:10-24時間
予防:
漁獲から消費まで10℃以下の低温で管理をする。
魚介類を水道水で洗浄する。
冷蔵庫から出したら2時間以内で食べる。
【黄色ブドウ球菌】毒素型
●手や指の傷の菌が食品に付着・増殖し、それを摂食して発症します。
●潜伏期間が最も短い。
主な原因食品:化膿した傷のある手・指により汚染された食品
症状:腹痛、嘔吐、下痢
潜伏期間1-5時間
予防:個人衛生の徹底、手指に傷がある場合調理させない。
【セレウス菌】毒素型
●芽胞形成するため通常の加熱調理でも生き残ります。
主な原因食品:土壌・農作物(特に米・小麦などの穀類の汚染率高い)に分布。その穀類を使った食品(チャーハン、オムライス、ピラフ、パスタ類など)
症状:腹痛、嘔吐、下痢
潜伏期間:嘔吐型は1-5時間、下痢型は8-16時間
予防:チャーハンや麺類などは作り置きをせず、調理後速やかに低温(10℃)に冷却し保管します。
【ウエルシュ菌】感染型
主な原因食品:給食などで大量に調理され、保存された食品(煮物、カレー、シチューなど)
症状:腹痛、嘔吐、下痢
潜伏期間:6-18時間
予防:加熱食品の低温保存、喫食前の再加熱、加熱後は速やかに冷却します。
【ボツリヌス菌】毒素型
●神経毒素により神経障害をおこします。
●はちみつ中のボツリヌス菌の芽胞は熱で分解されず、乳児の体内で発芽してボツリヌス毒素を作り出すため、1歳未満の乳児にはちみつを与えてはいけません。(厚生省通知)
主な原因食品:土壌やほこりに汚染された食品で酸素のないところで増殖します。魚肉発酵食品(いずし)、瓶詰、缶詰、レトルト食品など。
症状:嘔吐、神経症状(視力障害、歩行障害、嚥下障害、呼吸困難など)
潜伏期間:8-36時間
予防:
真空パックや缶詰が膨張していたら食べない。
1歳未満の乳児に蜂蜜を与えてはいけません。
【海外での食中毒対策】
まずは手洗いを徹底します。
赤痢菌、コレラ菌、A型肝炎ウイルス、チフス・パラチフス菌に汚染された地域では、
●生水を飲まない。
●氷入りの飲み物は飲まない。
●生野菜や未加熱の食品は避ける。
●生の魚介類や肉は食べない。
●調理時間のたったものは食べない。
※厚生労働省検疫所FORTH http://www.forth.go.jp/index.html では、海外で流行している感染症の情報提供をしています。ご参照ください。